いまさら聞けない3Dプリンタ【初心者向け】

3Dプリンタ

中学生でもわかるを目標に、専門用語なしでモノづくりの世界をご紹介します。

一般の方のイメージは「聞いたことある。」「ネットニュースで見た。」といったレベルと感じています。実際、YouTubeやブログでも精力的に紹介されている方もいるのですが、件数的には少ない印象です。正直、情報不足&解説を見る機会が足りないと思います。

とはいえ、3年ほど前には製造業に身を置く私でも、一部のマニアか、専門業者の領域と感じていました。

ところがどっこい家庭用の進化と低価格化が凄まじく、2019年7月現在、家庭用の3Dプリンタが3万円台でそれなりのクオリティで買える時代が来てしまっています。スマホの半額以下です。

iPhone4あたりにスマホが大量に出てきて安くなっていった状況を見ているようです。

将来性については色々な媒体で言われているように高いポテンシャルを秘めています。そして、そのポテンシャルの恩恵は個人レベルまで確実に波及しますし、現在進行形でハードルは下がり続けています。書くと長くなるので別記事でまとめますね。

ここでは家庭用を中心に3Dプリンタってなに?って方むけに紹介していきます。

3Dプリンタってなあに?

3Dプリンタとは簡単に言うと、立体の3Dデータ を樹脂(プラスチック)や金属なんかを積み上げて(積層して)その場で作る機械です。

たいていの3Dプリンタには、3Dデータを3Dプリンタ用に変換するアプリがセットになってます。で、実際に作る材料によって方式が変わってきます。使われている技術もだいぶ変わってきますね。一例をあげると

  • 樹脂を溶かして積み上げ(熱で溶ける樹脂を使います)
  • 樹脂を固めて積み上げ(紫外線で固まる樹脂を使います)
  • 金属を溶かして積み上げ(熱で金属を溶かします)
  • そのほか材料積み上げ

代表的なのはこのあたりでしょうか。

実際に使うには、用意した3Dデータを薄くスライスしたデータに変換して、3Dプリンタに送信して開始ボタン押せば機械の仕事は終了です。

出来上がったら余分な部分を取り外して完成。 この「余分な部分」も3Dプリンタの特徴かもしれませんね。大きく2種類の「余分な部分」がでてきます。

  • 1つ目は、積み上げるための土台を同じ材料で下に敷いていきます。これ抜いた形状が欲しい部分なので「余分な部分」です
  • 2つ目は、どんな3Dプリンタでも基本的に下から積み上げていくので、スライスしたデータが空中に浮いてしまう場合があります。この場合、下に落ちてしまうので、一時的な土台を自動で作ってくれます。この土台は「サポート」と呼ばれていて、サポートも最終的にはいらないので、「余分な部分」です。

個人で買えるモデルはどうかというと個人用で3~4万円程度の低価格モデルが出ているのは「樹脂を溶かす」です。このところ1、2年程で「樹脂を固める」モデルも5万円程度まで低価格化が進んできてます。

業務用のハイスペックモデルなら数億円っていうのもあります。

では、それぞれの材料ごとに特徴を順に説明していきます。

樹脂を溶かして積み上げ( FDM方式 )

専門的には「FDM方式」といいます。FDMはFused Deposition Modeling の略で、日本語だと熱溶解積層になります。

いまのところ最安の方式であり、最大シェアを持っている方式です。

開発競争が激しいので、研究開発を多くのメーカーで進めていて一番安定している方式でもあると思います。とはいえ、3Dプリンタ自体が発展途上なので成熟というほどでもないかも。まだまだ期待してます。

家庭用だと0.2mmとか0.4mmあたりの厚みで溶けた樹脂を積み上げていきます。樹脂を積んだところが見た目にわかる段々になる程度の精度が多いみたい。業務用はもっと細かくて見た目にわからないものも。

見た目が大事なフィギュアなんかだと下で紹介する方式のほうが向いてます。形が大事なブラケットや部品なら問題ないかも。現状、こちらの強みは早くて安いです。

具体的に使える材料が多いのも特徴です。共通した特徴は熱すると柔くなって、冷えると固まる樹脂です。家庭用でよく使われるのは、ほぼPLAで、次にABSあたりでしょうか。それぞれの特徴も紹介します。

PLA樹脂

 Poly-Lactic Acid の略。日本語だとポリ乳酸。植物デンプン由来の樹脂で環境に優しい。3Dプリンタの熱で膨張したり収縮しにくいので失敗しにくい。材料の強さはABSより弱い。後加工がABSよりしづらい。塗装しにくい。

ABS樹脂

 Acrylonitrile butadiene styreneの略。日本語もそのまま アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン 。プラスチック材料として世界中で広く使われている。そこそこ強くて、後加工しやすくて、塗装しやすい。家庭用だと気になる点として、くさいです。

樹脂を固めて積み上げ(光造形方式)

専門的には「光造形方式」で通じます。より具体的にSLA方式やDLP方式ともいいますが、紫外線で固めるのは同じです。最近家庭用の価格が下がってきて買いやすくなってます。

こちらも開発競争が激しくなってきてますね。もう少し待てば価格も性能もいったんは落ち着くんじゃないかと思ってます。

FDMに比べて精度が一桁高い、0.05mmくらいの間隔で積み上げていきます。

材料は紫外線硬化性樹脂という名前そのままの材料を使います。現状では使える材料の選択肢は多くありません。

光造形では、液状の樹脂を薄く広げて、固めたいところだけに紫外線を当てる。またその上に薄く広げて紫外線を当てる。の繰り返しで樹脂を積み上げていきます。

積み上げ間隔が小さいうえ、熱をかけないので、精度が高いのが特徴です。見た目にわからないレベルで作ることもできます。

一方で、積み上げ回数が増えるので時間がかかります。材料もFDMに比べて高価です。また、液状の材料を使うこと、完成時点で液状材料でべたべたになってるので洗浄が必要なこと等なんやかんや手間が多いです。

金属を溶かして積み上げ

業務用でも実用化は一部で研究開発真っ最中です。家庭用はまだないんじゃないかな。

いまのところ代表的なのは、金属の粉を薄く敷いて、レーザーでほしいところを固める方式と、金属の粉を拘束で吹き付けて積層する方式ですかね。

この分野は様々な材料の組み合わせや中間の手間を増やしたりして試行錯誤している状態です。

ニュースではジェットエンジンの部品作ってるとか出てますけど、まだまだこれからって感じです。ぶっちゃけ出来上がった部品の材料が本当にいつも均質か、想定した強度がいつも出てるか正確に把握できないと自動車や飛行機みたいな壊れちゃいけない製品には難しいんじゃないかなぁってのが個人的な考えです。

とはいえ、その問題さえ解決すれば夢の技術であることも事実です。

金属とか炭素繊維の最先端ハイスペック3Dプリンタはアメリカとヨーロッパが先を走っている感があります。大学の研究室からベンチャー企業ってパターンが目につきます。

一方で家庭用の低価格モデルはほぼ中国製ですね。

個人的にも色々作って楽しみたいので、安いFDMを狙ってます。

買ったらレビューして作ったものの紹介なんかもやっていきたいと思ってます。

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