第8章「副業と税金の闇」

雑記帳

1. サラリーマンの知らない“もう一つの顔”

「副業を始めたら、会社にバレないように──」。多くの40代管理職がまず思い浮かべるのは、こうしたリスクヘッジ。しかし、それ以上に多くの人が見落としている“本当の落とし穴”があります。それが「税金」です。

副業を始めると、自分が思っていた以上に「税務の壁」に直面します。確定申告、住民税の申告方法、経費計上……。一歩間違えば、本業にも悪影響を及ぼしかねない“税金の闇”が待ち受けているのです。


2. 副業で得た収入、どこまでが課税対象?

まず押さえておきたいのが、副業で得た収入がどのように課税されるか。たとえば、ブログ収入・せどり・動画制作・コンサルなど、収入の性質によって「雑所得」か「事業所得」かに分かれます。

一般的に、副業が「継続的」「反復的」であれば“事業所得”として見なされる可能性があり、青色申告の対象になります。一方で、単発的なものや不定期な活動であれば“雑所得”となります。

この分類は、税務署によって見解が分かれる場合もあり、非常にグレーゾーン。税金を正しく納めるためには、ここをまず正確に理解する必要があります。


3. 住民税から会社にバレる!? 「特別徴収」と「普通徴収」

副業が会社にバレる大きな原因の一つが「住民税の通知」です。サラリーマンの住民税は通常、「特別徴収」として給与から天引きされます。しかし、副業分の収入も同様に処理されると、本業の給与に比して住民税が異常に高くなり、人事部や経理に“怪しまれる”可能性が出てきます。

これを回避するには「普通徴収」を選び、自分で副業分の住民税を納付する必要があります。確定申告の際、「住民税に関する事項」で「自分で納付」を選択することで対策可能です。


4. 副業経費の“線引き”が意外と難しい

多くの副業初心者が「とりあえず経費で落とせばいい」と思いがちですが、税務調査では非常にシビアに見られます。たとえば、パソコンやスマホ、家賃や光熱費の一部を経費計上する場合、それが明確に「業務のため」と説明できなければ否認されることも。

  • 100%副業に使うパソコン → 全額経費OK
  • 家族共用のパソコン → 一部しか認められない
  • 自宅家賃の一部 → 専有スペースの割合で按分が必要

グレーな経費を大量に計上すると、将来的に税務署から目を付けられるリスクも。副業を本格化させるほど「帳簿管理」「証拠書類の保存」が重要になります。


5. 確定申告を放置するとどうなる?

「今年はあまり稼げなかったから、確定申告はしなくていいだろう」と考えてしまう人もいますが、これも危険です。副業収入が年間20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。

仮に申告しなかった場合、以下のリスクが待ち受けています。

  • 無申告加算税(15〜20%)
  • 延滞税(年14.6%※最高時)
  • 青色申告の取り消し
  • 過去5年分の追徴

特に副業をしていると、マイナンバー制度により銀行口座や取引履歴から追跡されやすくなっています。今や「見つからないから平気」は通用しません。


6. 専門家に相談する“コスト感覚”を持とう

副業を始めたばかりの頃は、「税理士に相談するなんて、お金の無駄だ」と思いがちです。しかし、初年度から正しく申告・帳簿を整備しておくことで、後々のリスク回避にもつながります。

最近では、副業に特化した税理士や、オンラインで格安対応してくれるサービスも増えています(例:freee、マネーフォワードの税理士連携など)。

「節税」ではなく「安心料」として、税務の専門家に一度相談しておくのがベストです。


7. 税金の闇を“透明化”するには?

この章の結論は、「税金は“敵”ではなく“共存相手”にすべき存在」ということです。

副業で得た収入は、確かに本業とは違うルートのお金かもしれません。しかし、それを社会に還元する義務がある以上、税金とどう向き合うかは「副業の質」そのものを左右します。

「会社にバレないように」「節税で得したい」といった視点だけではなく、「健全に長く副業を続けるには、何を整えておくべきか」という視点こそ、40代管理職に求められる成熟した姿勢なのです。

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